 ブルーの航海(…後悔?)日誌* 年が暮れ顎も落ちる編 * |
私の名はブルー。宇宙戦艦ギャラクティックジョーズ副艦長にしてジンベエ・フォン・シャーク・スコッチ様の副官を努めている。 デスクの脇の窓から見える宇宙は、いつもと変わらず幾千万もの星々が瞬いている（←残務やってるんですね……）。そして一番近くに見える惑星、地球は、今日は一年の最後の年なのだという。 『その時ブルーの部屋に「失礼します！」と礼儀正しく部下がお盆に湯気の立つ椀を乗せて持ってきた。それは暖かい湯気を立て、ふんわりとゆず胡椒の香りのするソバだった』 ……ああ、もうそんな時間か。地球に存在する国の一つで、ジンベエ様がいたく気に入られた「ニッポン」と呼ばれる国では、一年が終わる時、このソバと呼ばれる穀物を粉にして練ったヌードルを食べて過ごすらしい。 その云われは色々あるらしいが……長くなるのでよしておこう。 『年越しそばのいわれを今日の朝礼の時に延々一時間にわたり演説され、ブルー氏はその時の事を思い出し思わず顎が落ちそうになった』 ま、まぁ、しかし、コレを食べるのは行く年と来る年、両方への願いを込められているそうだから、ジンベエ様がソバを振る舞われると言う事は、我ら乗務員の今までとこれからを祝福してくれていることなのだ。 ……幸せではないか、我らギャラクティックジョーズの乗務員は。地球では今、世界規模の不況でリストラの嵐が吹き荒れている。長年尽くした会社に首を切られてしまう社員や、まさに身を粉にして一日中働いている若者達も沢山いる。 それに比べれば、我らは路頭に迷うこともない。限界を超えたノルマを課されることもない。皆自分の仕事に誇りを持って働き、生き生きとしているではないか。ここは良い職場なのだ……。 『それを一身に支えているのは自分だという事に気が付かない真面目一徹のブルー氏は、仕事の手を止め盆の上に置かれた箸を取り年越しそばの椀を取った……その時』 ！！！！！！な、何だ！！？？な、な、なぜ、何故、鐘の音がギャラクティックジョーズ内に響いている！！！！！！ 『思わず「どんがらがっしゃん」と何ともお約束な音を立てて頭から落としたソバを被ってしまい椅子からも落ちてしまったブルー氏は、ギャラクティックジョーズ内に響き渡る重々しくそして身の引き締まる……そう、「わびさび」の世界の鐘の音に顎を落としてしまった。 この鐘の音はＴＶやラジオからの音ではない。そう、考えたくも信じたくもなかったが、これは…………ライブ（生）の音だ。 鐘の音が聞こえてくるレクリエーションルームの方向に思わず走っていって、ブルーはまさしく2004年最後の顎の落とし納めをしてしまった』 〜〜何・で・こ・こ・に・鐘・が・あ・る・っっ！！！！何でここにお堂があるぅっ！！！（顎落ちっぱなし） 『おいおい冗談だろうと書いた人間も言いたくなるが、そこでは、まごうことなき除夜の鐘が、ギャラクティックジョーズ乗務員の手によって鳴らされていた。皆鐘の吊されたお堂に並び、「何をお願いしようかな」とか、「賽銭はいくら投げる？」とか、イマイチ違うことを話し合っている。 そしてブルーは、こんな事をするのはあの人しか居ないと分かり切っていたので、機嫌良く紫のマントをはためかせている彼の直属の上司に訴えた』 ジン様っっっ！！！！こんな物を艦内に持ち込まれて一体どうするのですっっ！！！！重いですよ！！ 撤去はどうするのです！！戦艦の航行に影響大ですっっっ！！！ 『さすがにパニクって拳を握って訴えてくる部下に、見目麗しき宇宙戦艦ギャラクティックジョーズ司令官殿は爽やかに告げた』 「ブルーよ。お前の言い分もよく分かる。確かにこのような超重量の物体を乗せては、宇宙航行中に影響が出るかも知れない。しかしどうか許してはくれないか。いつも多忙で地球の文化に触れる時間の取れない乗組員達を、この珍しい習慣に触れされてやりたかったのだ。私の今年最後の願いだ。目をつぶってくれ」 ……ジ、ジン様、どうか私に頭など下げないでください！分かっております。これも皆のためを思ってのこと。声を荒げて申し訳ありません。 ああ、私も修行が足りないな。ジン様とて悪気があってこのような事をしている訳ではない（それが一番問題かも……）。ただ、皆のことを思っているだけなのだ。 それに、「今年最後」と言っていらっしゃったではないか。そう、2005年はおとなしくしてくださると言うことだ。良いではないか。年明けに一発顎を落とすくらいで済むのなら……。 『無理矢理自分を納得させているブルー氏はうっかり気が付いていなかった。その時、まだ2004年の11時59分であったことを。 宇宙戦艦ギャラクティックジョーズ副艦長、ブルー氏。2005年も顎を 落としまくる一年になりそうである……。』 |
| 随分前にakiさんより戴いた、ブルーさんの幸せな大晦日のお話です。（きっと・・・たぶん。気づいていないうちは。）akiさんの書かれる副官氏は、私が書く副官よりも律儀で「忍」の人で、実物よりホンモノらしい人で、ひそやかにファンであったりします。いただいてからだいぶ時間がたってしまいましたが、サイトアップを快く許していただいて有難うございました。<(_
_)> ブルーさんには2005年にも盛大に顎を落としていただきたいな、と個人的には思っております。 それではakiさんもよいお年を！ |