７実験体

　
　アレックスが行動を起こした。
　義手と義足の能力が最大限に引き出された。もう目では全く追えない。ぐしゃっという骨を砕く音がし、血は天井まで吹き上がり、割られた頭蓋からは脳が白くはみ出している。肉を焼く異臭が漂った。目を懲らすと、アレックスの左腕が幽かに光っているのがわかった。その腕に触れた敵は即座に硬直したきり動かなくなった。触れたところには火傷の痕、電気的なものだろうか、恐ろしいほどのエネルギーだ。
　”殺人機械”
　今のアレックスにはその呼び名がふさわしかった。

　ジョーはへたりこんでその光景を見ていた。
　”戦争だ”と思った。
　ブッカは機材の陰でぶつぶつつぶやきながら、難しい顔をしていた。
　ジョーは、四肢が冷たくなってきて、ほどんど感覚というものがなくなってしまったのではないかとさえ思われたが、右腕に柔らかいものがあてられたのに気づき、我に返った。
　

　「キャプテン・・・・」

　カイユンだった。右腕からはいつやられたものか、一筋の血が流れていた。カイユンはジョーの手をそっととって簡単に血を拭うと止血パッドを巻いてその上からクリーム色の保護帯を重ねた。
　カイユンは応急手当てを済ませるとジョーの傍にしゃがみこんだまま戦いの様子を見た。瞳は大きく見開かれ、その開きっぱなしの目から筋になって涙が溢れでてきた。
　ジョーはびくっとして、カイユンの体を逆に向けぎゆっと抱いた。

　「みちゃだめ。あんなもの、あんたみたいな普通の子の見るものじゃないわ！」

　それでもアレックスの流した敵の血は床に広がっていき、カイユンの薄茶のブーツを赤に容赦なく染めた。
　しばらくしてすべてが終った。
　アレックスは、たっぷり血を吸った体でジョニーの傍に戻ってきた。
　彼の足取りは重く先程までの素早い動きは嘘のようだ。　その彼を追うように、コスモ・アーミーの支援部隊の一人が大股で歩いてきて戦闘用のヘルメットをとった。ジョーは息を飲んだ。パールイエローの髪、青い瞳。その男もまたアレックスやジョニーと同じ顔をしていたのだ。
　男は今、ここで何も変わったことがなかったかのような気軽な調子で口を開いた。

　「やあ、δ（デルタ）久しぶりだったな。��一段と腕が上がったようじゃないか。��わが軍が開発したその義手の威力もあるがたいしたものだ。俺たちのなかで��軍への協力姿勢は別として、��力量は、悔しいがトップだ。」

　アレックスはのろのろと顔を上げた。目は、怒りで燃えていた。

　「お前・・・Ｏ（オミクロン）��お前は何故ジョニーをここに連れてきた！」

　オミクロン、と呼ばれた男は低く笑った。

　「俺が連れて来た訳ではない。上層部の意向だ。・・・・γ（ガンマ）のデータはもう重要でなくなったのだそうだ。むしろ、反射神経の高い年令のうちに戦闘に参加させそちらのデータが欲しいのだと。・・・・考えても見ろ、俺たちの仲間は何十人も居るんだぞ。・・・・γはお前の盾の役目くらいはしたようだな。・・・そこをどけ。俺がγの最終データを回収する。」

　アレックスは急いでジョニーの着衣を破った。薄い小さな金属板が心臓の上あたりの位置にあった。アレックスはそれを左手で引き剥がした。体に埋め込まれていたらしく血がしたたった。そしてそれを持ったまま左手を強く握った。金属板は手のなかで潰れ、火花が散り、小片となって床へとこぼれ落ちた。　

　「何をする!?」

　Ｏは悲鳴を上げた。

　「δ！お前という奴は！γの死はこれで完全に無駄になった！」

　「僕の名はδではない。アレックスだ。ジョニーはジョニーであってγではない！」

　「・・・・・俺はＯ、お前はδだ。・・・・せいぜい長生きして多くのデータを残せよ。お前のその手がお前を殺す前に。お前は俺たちのなかのエリートだからな。・・・・お前のデータはこの俺が回収してやる。」

　Ｏは部下と共にでていった。アイリーンがこの施設のどこかに居る、ということが通信されてきたためだ。それはジョーたちにも伝わっていた。
　カイユンは、足元の血溜りから足を上げた。固まりかけていて糸をひいた。片足を上げたままの姿勢で、カイユンは血を見ていた。そして、やおら、堰を切ったように訴えた。

　「・・・・��ひどいですよ！��こんなの・・・・こんなの！人殺し！中尉さん！・・・ひどいですよ！」

　アレックスはからからと笑った。

　「人殺し？・・・・殺さなければ殺されていただろうに・・・・僕も、君も、君の大事な人たちも・・・・君に僕を責める権利など存在しない。・・・・・僕はクローニングで生まれた。試験管と培養槽の産物だ。持っている遺伝子は軍人としては最高の系列といわれている。その系列は数十人のクローンに同時に伝わった。今もまだ、同じ遺伝子を持った赤ん坊が育てられつつあると聞く。・・・・テストだ。実験体さ。・・・・我々がどう変化していくか。教育環境、外部刺激皆違う条件を与えられた。・・・・・ジョニーはもっとも平穏な暮らしをしてきた。彼は牧場で育てられたのだ。一方僕自身は軍事指導者、そして戦闘員として育てられた。・・・・殺すのが役目だ、当たり前のことだと教えられてきた。敵は殺す。それが僕に刷り込まれた行動だ。」

　アレックスは上着を脱いだ。ジョニーと同じような金属板が認められた。

　「これがメモリーだ。脈拍、呼吸、その他の身体状況を記録している。これがデータとなり研究される。・・・・我々はモルモットさ。いくらモルモットではないとあがいていても無駄なことだ。そのように創られているのだから。」

　ジョーは喘いだ。　

　「あなたには自分ってものがないの!?創られったっていっても人間は機械じゃないわ。初めの目的がどうであれ、今、生きているのはあなた自身じゃないの。」

　来ていたロマノフはジョーがアレックスを”あなた”と呼ぶのを聞いてすこし眉を上げた。
　アレックスはジョーに、その美しい青い目を向けた。

　「僕を人間ではなく獣と思うのならそれもいい。��自分がない？��確かにね。・・・・頭ではわかっていても抜け出せはしない環の上に居るんだ。��しかし、環の上に居るのは君たちも同じだ！」

　ロマノフも、マリオも、物に浸かれたように話し続けるアレックスを遠巻きにしていた。

　「君たちも観察対象だ！僕と同じくコスモ・アーミーに管理され、研究されている。」

　「そんなことはないわ！あたしはこの仕事を引き受けるかどうかは自分で選択したのよ。それに他の仲間だってあたし自身が選んだの。コスモ・アーミーが決めたんじゃないわ。」

　「・・・・コスモ・アーミーは君の性格を分析した。コスモ・アーミーは、君がシークレットを引き受けると確信していた。そして、この仲間を選ぶことも・・・君はどんなに技術を持っていても、性格破綻者を選びはしない・・・みな、非常に興味ある個体だそうだ。・・・・・ロマノフ　は違う。彼は一種の親和剤だと上層部は解釈している。・・・・・ジョセフィーヌ　ルノー。何故、短期間にあれほどの操縦技術とワープ機関の調整手腕を身に付けられた？君は、遺伝的に特殊性があると考えられている。・・・キム　カイユン。言うまでもない。人間と亜人間のハイブリッド（混血）。そして、マリオリベラは、

　マリオは、つい、と進みでた。

　「自分のことは自分で言うぜ。」

　　　　＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

　俺の故郷は知っての通り惑星ドルガ。自然のない星で空調も機械が行なわれている。もともと人口の急激な増加がその引き金となっている。・・・・表面を建物で覆いつくし、それでも膨張する人間を収容しきれず超高層ビル群が林立していった。やがては、惑星全体を幾層もの階層建造物が取り巻くようになった。ドルガは自然を失う代わりに交易星としての発展を遂げた。軌道エレベーターを三十二本持ち、それによって銀河の富を吸い取り国家を支えている。
　待て。ここからが本題だ。・・・・あの階層建造物は今から三世紀前に完成したものだが、今から三十年ほど前、専門家が調査した結果、早ければ百年程度で崩壊の恐れがあることがわかった。初めの耐久安全係数の見込みが甘かったんだろうぜ。・・・政府は新都市の設計に躍起になった。もちろん、国家内最高の建築技師たちを召集したさ。ドルガの建築技術は他のどの惑星より進んでおり、政府は彼らに絶大な信頼を寄せていた。
　しかしだ。技師たちは匙を投げた。彼らは次の三世紀はもつようなものはつくれるとはいったが、半永久的に残るものはとうてい無理だと考えていた。彼らには新しい発想が欠けていた。・・・・・ドルガ政府は悩んだ。三百年ごとに階層構造を改築していったなら、財政がそのたびに危機を迎え、ドルガの宇宙連邦での地位は徐々に落ちていくだろうからな。・・・・・ゆえに、政府は新しい世代に望みを託すことにした。遺伝子を詳細に検討し、建築家の卵として試験管ベビーを育てたんだ。
　第一グループの百人のうちの一人がこの俺だ。俺だって、何億というドルガ国民の期待を担って生まれてきたんだぜ。
　ところが、どこをどう間違ったか、俺は建築技師にはならなかった。頭の内容の方は問題なかったはずなんだがな。配偶子提供者は両方とも高名な物理学者だというし、俺自身のＩＱも並をはるかにこえていた。いや、仲間の奴らのなかでも群を抜いていたらい。
　最初は順調だった。百人並んで初等力学をやっているうちはな。ところが、他の奴らが高等建築工学を学びはじめたとき、俺は完全にはみ出していた。俺は爆発物に興味を移してしまっていた。他の九十九人はどんなことにも耐えられる建物を造ろうとし、俺は逆に、どんな建物でも崩せる爆薬を調整しようとした。・・・・何か深い思慮があった訳じゃないぜ。俺はまだ十二才のガキだったし、要は気に食わなかっただけの話だ。すべてを吹っとばしてしまいたかった。施設を飛び出し、宇宙港で小悪党の使い走りをし、やがて貨物船に密航して・・・・・あとはお定まりのコースだな。元天才少年のなれのはてがこの俺だ。
　遺伝子は最高だったかもしれねえが俺はドルガ政府の大失敗作さ。コスモ・アーミーは失敗例を観察するほど暇なのか？おもしれえ話だな。そうだろ？」

　にやにや笑いつつ、マリオはソーンダイクを小突いた。

　「ソーンダイク。お前、お前自身についての話をしてみないか？あの、コスモ・アーミーのご立派な中尉殿に話してもらうよりかは幾分かましな気がするんだが。」

　ソーンダイクは無言だった。

　「無理に、とは言わん。」

　ソーンダイクは、二度、三度髪をがしゃがしゃっとかきあげて耳に手をやった。
　そして、曲面を描いて目をしっかりカヴァーした濃茶のサングラス・・・・・仲間の前でも一度も外したことのないサングラスのつるを摘んで顔から取り去った。
　奇形でもなく、光を失っている訳でもない普通の目がそこにはあった。ソーンダイクは目をしばたかせた。しかし、何という目だろう！
　少し細い目。その瞳の色といったら！その色は若葉色。冬の寒さを突き破り、春の兆しを人々に知らせる淡く新鮮でそれでいて力強さを感じさせる木の芽の色そのものだった。非常に透明感があり、肌の白さとあいまってガラス細工のようでもあった。

　「私は、マリオのような試験管ベビーではありません。」

　彼は、何の抑揚もなく言った。

　　　　＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

　「私は試験管ベビーではありません。ごく普通のエンジニアの夫婦を父母とした自然出産児でした。
　私は第四子として母親に受胎されました。しかし、彼らは四人もの子供を欲してはいませんでした。これは統計的に見て非常にありふれたことです。四人以上の子供を望む夫婦は比率として0.78％。四人目以降の胎児の中絶率は９２％です。彼らも正規の手続きを経て合法的に中絶を行なおうとしました。��ところが、そこに政府のある機関が介入してきました。かなりの金銭を彼らに与え、その代わりに中絶するはずだった子供を生み、しかも生後すぐにその子供の養育権を政府に全面譲渡するという契約を結んだのです。
　生まれた子供��これがつまり私ですが��は契約どおりに政府の手に委ねられました。そして、人間を一切知ることなしにコンピュータと簡単なロボットによって育てられました。言葉の学習もコンピュータの合成音によりましたし、病気になったときでさえ、人間の医師が入ってきたことはありませんでした。
　寝室と居間とバスルームと運動室、そこが私の知っていた世界のすべてでした。初めて生きている人間と接触したのは十二才七ヵ月のときです。
　遺伝私的には私は全く平凡な人間です。が、しかし、そのような教育によって、コンピュータ操作に熟達しました。私が現在も政府の観察対象になる理由があるとすればそこのところでしょう。私と同様にコンピュータによって育てられてきた子供はなぜか早く死んでしまったそうですから、私は貴重な案外個体なのかも知れません。��しかし・・・・・個人的見解ですが、私など観察しても、何も得るところはないと思います・・・・」

　ソーンダイクはサングラスを照明にかざし、袖口でこするとしっりつるを耳にかけた。若葉色の瞳は隠れ、いつもの全く表情のない顔に戻った。

　　　　＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

　アレックスの顔には、まだ狂気が宿っていた。

　「自己紹介有難う・・・・どちらにせよ君達は観察対象だ。監視され、拘束され、報告され、研究される。」

　マリオは、アレックスに向かって低い声で呟いた。

　「なるほど。で、同病相憐むってことであんたは俺たちの監視役に就いたって訳か？」

　ジョーは、マリオの前に一歩でてアレックスに迫った。

　「過程がどうであれ・・・あたしたちはあたしたちよ！そちらがどういうつもりであろうと断じてコスモ・アーミーのモルモットじゃないわ！」

　ここで、カイユンは、そっとアレックスに近付くと、彼の血だらけの左手をとって、真新しい保護帯でごしごしこすりはじめた。

　「・・・・・もう、やめてくださいね。・・・・やめてくれますよね・・・色々あるけれど・・・・・もう殺しませんよね。・・・・・だって・・・・・中尉さん・・・・後悔しているもの・・・・・。」

　アレックスは全く意にかいさないように、左手を乱暴にはらった。カイユンは血だらけの床にもんどりうって転がった。ジョーは、カイユンを起こしてやった。

　「・・・・・中尉。あなたが不幸なのはわかるわ。でも、カイユンにあたっちゃいけない。・・・・この子はあたしたちとは違うわ。ましてあなたのような人殺しじゃないんだから。」

　「立派なことを言うね。ジョセフィーヌ　ルノー。そんなことが言えるのは、君が曲がりなりにも幸福だからだ。君は、まだ、他人に依存して生きている。甘えて生きていかれる。君の義手、船、仲間・・・・それは君が自ら得たものではない。与えられたものだ。精神的に、物質的に、いざとなれば君には頼るものがある。君の過去にだ。家族にだ。・・・・僕にはそれがない。・・・・殺人のどこが悪い？生きるためだ。他の者を生かすためだ。殺して、殺して・・・そして生き残る・・・・生き残ることのどこがいけない？」

　ブッカが腰を押さえながらやっとの思いで声を出した。

　「・・・・もうやめろ・・・キャプテン・・・」

　通信機から音声が流れてきた。アイリーンはコスモ・アーミーをかなりてこずらせているらしい。兵士の悲鳴が緊張した空気をつんざいた。

　”アイリーンはＲ４ブロックに移動！至急支援を！”

　「・・・・・アイリーン・・・・・」

　アレックスがボソリといった。

　「アイリーンはＲ４ブロック・・・・・ジョニーは死んだ・・・・・アイリーンは生きている・・・・・殺してやる・・・・・」

　完全な狂気でアレックスの目は輝き、直ぐ様疾風のようにＲ４ブロックへと走っていった。

　「��我々はあれを発作と呼んでいる。��」

　ブッカは静かに言った。

　「精神が極限まで高揚されたとき彼はああなる。��あれでもまだ抑制を効かせているほうだ。彼と同じく四肢切断、義四肢接続をなされた五名のうち、生き残りは彼一人だという。あの手足はバイオ・フィードバックで精神の高まりにつれて高出力となる。・・・・彼も普通はせいぜい十人分の働きしかしないが今は一人で一個中隊分だろう。死んだ四人はその出力を制御できず自滅したらしい。��特にあの左手がいけない。あれは凶器だ・・・・・・」

　「��さぁて、今までにかなりショッキングな発言が多々あったようだが・・・・・・おい、ジョー、俺たちはこれからどうする？」

　マリオのこの問いで、やっと空気がゆるんだ。

　「・・・・まず、報告してほしいわ。ソーンダイク、そっちはどうなった？」

　ソーンダイクは手帳として使っているポケットコンピュータを取り出してディスプレイ部を見た。

　「データ・コンピュータにここにくる前にブレイク・インすることができまして、データは七十八％破壊してあります。」

　ジョーは、髪をかきむしった。

　「それが早くわかっていたらここに突入する必要はなかったのにね。こんなに死人を出さずにすんだかもしれない。・・・・マリオは？」

　「やっちまった。特殊合金だったんで、形だけは残っているぜ。もっとも、何の兵器かよくわからなかった。アレックスが壊せって言ったんだぜ。あいつ何考えてるんだ？」

　ジョーは、カイユンに巻いてもらった保護帯を少し引っ張ってなおした。

　「・・・・ということは、あたしたちがやるべきことは何もないような気がするけど。どう？」

　「そうだな。俺たちは戦闘シークレットじゃないんだ。撤退するってのはどうだ？」

　マリオはそう言って、いきなりジョーを抱き上げた。ジョーは平手打ちをしたがマリオは離さなかった。

　「あんた、疲れ切っているだろう？人の好意は進んで受けるもんだぜ。」

　間髪を入れず、今度はかなりの力でジョーはアッパーカットを食らわせてマリオの腕から逃れると、彼女はカイユンを抱き上げてマリオにパスした。

　「本当に参っているのはカイユンの方よ。・・・・・お願いね。」

　しかし、ジョーもふらついていた。後ろによろけたところをすかさずロマノフが支えた。ロマノフは”少しそのままで居なさい”というように頭を振った。
　目を閉じて一呼吸。それだけで驚くほど気持ちがしっかりした。

　「さあ。アケルナルに戻ろうか！」

　彼女は先頭に立って行きかけたが、何かが心に引っ掛かって立ち止まった。それが何なのか考え、空を視線がさまよって、カイユンの視線とぶつかった。カイユンは、瞬きもせず彼女を見ていた。
　ジョーは、優しく尋ねた。

　「��カイユン。・・・・言ってご覧。��あたしたちはいま何をすればいいとカイユンは思うの？」

　カイユンは小さな声で言った。

　「��僕・・・・アレックスさんのあとを追った方がいいと思うんです��中尉さん、あのまんまじゃ・・・可哀相です・・・・・可哀相すぎます・・・僕・・・・・・・・」

　最後は涙の中に消えてしまった。
　ジョーは、にこっと笑って指でカイユンの涙を拭いてやった。

　「よ～し。予定変更！ブッカ！ここで待っててね。アイリーンを追うわ。アレックスが殺す前にどうにかしてひっ捕まえる！」

　マリオは”ゲエ”といってから笑った。

　「あんたって女は、とことん身勝手な人間だな！」

　”ドロップアウト”の五人はＲ４へ向かった。

７ 実験体

７　実験体