10万HIT記念へっぽこおとぎばなし
森で見つけた家のドアの取っ手をひくと、簡単に開きました。足を踏み入れると、そこは大きな部屋で、ベッドが七つ並んでいました。窓には手入れのいきとどいた、花いっぱいの植木鉢も並べられています。 「悪い人の家ではなさそう。でも、…何もしないで泊めてくださいなんて図々しいことですよね。」 ファナ王女は辺りを見回しました。 「そうだわ、お掃除をしましょう！お洗濯も！ここに住んでいる方のために少しでもお役に立ちたいわ。」 そう言って、両手をぱん、と合わせたファナ王女の横に、箒を持った白兎が現れました。…イナバさん、宜しく。あ、やっぱり竹箒なんですか（汗）？いや、別に構いませんが。そして、（手伝い妖精を筆頭とした）妖精たちも掃除を始めました。王女はウサギと、妖精と、笑顔を交し、歌を歌いながら踊るように掃除をしていきます。 メルヒェンだよ！母さん、このサイトでもラヴリー系メルヒェンが展開されてるよ！ （管理人は今、モーレツに感動しております） 部屋はすっかり綺麗になり、王女はベッドの1つに腰を下ろしていましたが、疲れていたため、いつの間にか眠ってしまいました。 やがて日が暮れ、この家の７人の住人達が帰ってきました。 （ざわつく一同。「誰だよ、それ。」「そもそも７人の団体なんていたか？」「それとも混成チーム？） それぞれ異なった色の服を着た７人は…ほら、気づけ。周囲からの注目を集めているのがわからないかね？焔。 「え？俺ら？ま、まてよ！俺達は５人だぞ？赤・青・黄・緑・桃。以上、終わり。」 …白と灰色があったでしょうが… 「!?白石さんと灰谷のおっちゃん?!うぇー！反則だッ！反則！なんで俺達が七人の小人になんなきゃいけないんだよ。恥かしい。」 …いや、別に小人になる必要はないんだけどね。あんたらここじゃ新参者なんだから、嫌がってたら叱られるよ？ 「そうですよ！……それくらいで恥かしいなんて言わないで下さい！俺なんか…俺なんか、俺なんかッ！」 ほら、光太郎のあの悲痛な叫びを聞くがいい。 「わ、わ、わかった。だから気を静めろ！」 はい、じゃ、これが台本と衣装。いやー、色とりどりだねぇ。 （「おお！いつもの服と同じ色だぜ！」「…自分は少し丈が短いです」「うーん、ちょっとデザインが地味かな？ｖ」「機動性に少々欠けるが仕方あるまい」「この歳になってお芝居ができるのは嬉しいですよ」「見て！ぴったりよ！」「あの…ちょっと胸周りがきついのですけれど…） あ、きつかったですか。焔、何を喜んでおる。今、お針子のメイちゃんがそっちにいきますので・･･･････はい、OKですか？じゃ、続けましょう。 ７人の住人達は家に入り、いつもの通りランプにあかりをつけました。桃色の服を着た女性がはっとします。 「床が磨かれているわ。」 彼女の相棒も頷きます。 「ピカピカですわねッ！」 黄色い服を着た男性が天井を見上げました。 「隅にあったクモの巣がなくなっているよ。」 白い服の女性が目を見張りました。 「鍋の中にシチューが作ってあるわ。」 灰色の服のおじさまが深く頷きました。 「水がめの水もいっぱいになっているね。」 赤い服の男性が流しを見て言いました。 「おおッ!?朝にそのまま残しておいた食器がピカピカに洗われて棚に乗っている！」 青い服の男性は赤い服の男性の頭をゴッと拳で殴りました。 「今日の当番はお前だったはずだ！あれほど食事が済んだらすぐに洗えと言っただろうが!?」 緑色の服の男性はベッドの中を見て人差し指を唇にあてて、シーッと仲間達に静かにするように注意を促しました。 「僕のベッドの中にどこかの可愛らしいマドモアゼル（←今日の気分はフランス語らしい）が眠っているよｖ起こしちゃ可哀想じゃないか。」 しかし、焔の大声で王女は起きてしまいました。上半身を起こし、14＋２個の瞳が自分をじっと見ているのに驚いて目を見開きます。緑色の服の男性は流れるような無駄のない動作でさっと王女の背に大きなクッションを２個あてがいました。 「心配しないで、マドモアゼル。ここは僕らの家。僕達はここから少しいったところにある鉱山で採掘（←それこそ希土類かなんかなんだろうなあ）をしているんだ。君が寝ているのは僕のベッドｖああ、気にしないで。僕も気にしないからね。疲れてるんだよね。でも良かったら何が起こったのか教えてくれないかな？僕、君の声が聞きたいし、君のことをもっともっと知りたいんだｖ」 …管理人、リヒトが喋ると疲れるんですが… 王女はいままでに起こったことをすべて話しました。皆はじっと聞いていましたが、すぐに王女を匿うことを決めました。こんなに優しいお姫さまが継母に殺されようとしているなんて、正義のアツい心を持っている７人には許せなかったのです。ずっとここに居るといい。僕らがきっといいようにしてあげるから、と言うと王女は頷きましたが、心配そうに言いました。 「有難う。…でも、お兄様たちもお姉さまも神隠しに遭われて、ただ一人残った私まで居なくなってしまったら、お父様はどんなに悲しまれていることでしょう。なんとかしてお父様には私が無事でいることを伝えたい。そして、新しいお母様が本当は怖ろしい方なのだということも…もしやお兄様たちも、お義母さまのせいで…」 最後は涙で言葉が続けられなくなってしまいました。 「泣かないで、マドモアゼル。僕まで悲しくなってしまうから。君のパパンには何とかして連絡をつけようね。さあ、このハンカチで涙を拭いて。」 「おい…リヒト、一人で仕切るなよ。リーダーは俺なんだからさ。よし！皆、このお姫さまを助けるぞ！早速城に特攻をかけ…いてッ！何で殴るんだよ！」 「…敵の狙いや実力もわからないままいきなり攻め込んでどうする。それにな…コホン、ここでは私達は単なる『鉱夫』だ。変身して戦うことなどできないのだからな。…というか、リヒトも焔も台本を読め。本来我々は姫の気持ちを落ち着かせ、慰めるために楽しく歌わねばならんのだ。…早速練習だ。』 「何のさ？」 「むろん『ハイホーの歌』だ。」 ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 一方、お城では、お姫さまが神隠しにあった、と大騒ぎになっていました。王様は心労で倒れてしまい、お城の人たちは何か自分達にできることはないか、と考えましたが、良い考えは浮かびませんでした。他の国から来たお客様たちは、王様にお悔やみの言葉をかけてから帰っていきましたが、一人だけ国に留まった人がいました。それは隣の国の王子さまでした。逞しく、灰青の髪をした生真面目そうな王子は臥せっておられる王様の枕元でいいました。 「気を落とされなさらぬよう。これには何か悪しき力が働いているのを感じます。私はこの国に残り、王女様をお探ししたいとおもいます。どうぞ気をしっかりもたれて、ここでお休み下さい。」 「ど、どうしてあの方が!?そ、そりゃあ、あの方以外に主役の王子に相応しい方などいらっしゃらないことは自明ですわ！でもッ！主役の王子ということは、おとぎばなしの王道では最後に主役の王女と、キスして結婚してあんなことやそんなことまで…あああああッ！いやぁあああああああああああ！」 ……シーマさん、王子役しているブルーさんがそっち見て顎落としてますから、妄想のあまり周囲に魔法乱射するのはやめといた方がいいですよ。…セティとコープルが必死に障壁作ってくれているから無事ですけど。 王様は力なく頷きました。最後に一人残った愛娘までもが失われるのが運命のような気がしていたからです。毛布に乗せられた手はふるふると震えています。おお、迫真の演技だ。うーん、だてに「おと〜さん」を長年やってるわけじゃないねぇ。 「…王子殿、すまない。我が家臣たちも姫の行方を捜している。もしも何か手掛かりを得られたならば是非、お報せ願いたい。」 「はい、必ず。国より連れてまいりました我が王国の兵も動かしたいと思います。その許可をいただいて宜しいですか。」 王様はがし、と王子の大きな手を握りました。 「こちらからお願いしたいくらいだ。頼んだぞ。」 丁度その頃、紫色のマントを翻し、異国風の装束を身につけた男が甘い揚げパンを齧りながら幸せそうに城下を闊歩していたが、今のところ話に直接関係はない。関係はない。関係ないんだってば。 悲しみに沈み、或いは気難しい顔で慌しく捜索の準備をする人々の中で、一人の人物だけが、その赤い唇に微笑を湛えていました。そうです。王女様を殺そうとした悪い王妃様です。 …（管理人、台本片手に逡巡）えーと、その継母の役なんですが、継母キャラというのがこのサイトを捜してみたところ 「あら、私のことでしょうか。」 あれれ、エリザベスさんが出てきちゃった。えーと、エリザベスさん、確かにあなたはジョーのお義母様、いわゆる継母ですが、私の言っているのは「継母的キャラ」ということでして…あなたの性格だと穏やか過ぎるので… 「あらあら、私の性格は相当過激なんですのよ？ね、パーカー。」 「はい、奥様。」 うーん。でもすみません。イメージが違いまして。 「まあ、つまらない。ではどなたが演じられるのかしら？あら、もうその台本にはお名前が書いてあるんですね。」 わー！エリザベスさん、台本をひったくっていっちゃったよ！わー！渡してる！ 「はいｖあなたのお名前がほら、ここに。」 ・・・・・全員退避ッ！ 「何であたくしが悪役をせねばいけませんのッ!?」 うわぁ、魔力のオーラが膨れ上がってるよ。 あのぉ、シーマさん。 「何ですの!?この間のお話（←５万HIT記念の「大江戸へっぽこ草子」）の時には不覚にもうまく丸め込まれてしまいましたが、今日はそうはいきませんわッ！悪役は大女優にしか務まらない…確かにそれはそうかもしれませんけれど、夢見る乙女に向かって「継母」なんてあんまりじゃございませんのッ!?」 あ、あ、あのですね。おとぎばなしには悪役が必要なのです。 「だからってそれを私が演じねばならないなんてことはなくってよッ！」 えーと、必要であるだけでなく、魅力的でなければいけないのです。悪役が魅力的でない話は気の抜けたソーダ水も同然、ご存知かどうかはわかりませんが、かの『東京ネズミ王国』でも悪役達『ヴィラン』はその存在に重きを置かれ、グッズやフィギュアまでがギフトショップに堂々と並べられているのです。特に敵役の女性は、艶かしくミステリアスな雰囲気を持った絶世の美女でなくてはならないのですよ。そのような方はあなたを除いていらっしゃるでしょうか。（いや、いない←反語表現） 「………ま、まあ、そういうことでしたら、しかたなくってよｖ！全世界の人々がわたくしを待っていらっしゃいますのねｖ。それならば、私、清純な心を奥深くに閉じ込め、魔性の女を演じきってみせますわッ!!」 （アネさ〜ん！ステキです〜！と声が上がる） 「そうと決まったら着替えて参りますわ！」 ……なんだかそのままでも違和感感ないんですが。…………あ、戻ってきた。 王妃様は、兵士長のロムから渡された小箱を開き、血に塗れた心臓をうっとりとした眼差しで見つめました。 「王の最後の子供も世を去った。そしてお可愛そうに、王は倒れてしまわれた。ふふ、ふふふふふふ、おほほほほほ！これでこの国はほどなく私のものになる！あははははは！」 （「スゲェ迫力」「え、あれ、オネエサマの地？」「地じゃないけどあれくらいの迫力はいつもあるな。」「…コワイ」「…ああ、でもなんだかス・テ・キ。悪にあこがれる私ってば悪い子？」「なんつうかはまり役だな。」←メイド３人組の会話） お妃様は、赤黒く燃えさかる暖炉の火に心臓を投げ込んで燃やしてしまいました。そして、壁にかかった大きな鏡の前に立って、パチンと指をならしました。 「そして…あの子が居なくなった今、世界で一番美しいのはこの私ッ！」 お妃様は歌うように言いました。 「鏡よ鏡、教えておくれ、世界で一番美しいのは誰？」 すると鏡の表面が水面のように波立ったかと思うと、鏡の精が現れました。 ええっと、あ、もうスタンバイOKですね。ランディ君、よろしく。 「このお城の中で一番美しいのはお妃様、あなたです。」 お妃様はうっとりとした顔で鏡の精の声を聞きました。 「でも、遠くの森の中にいる王女様はあなたの100倍も1000倍も、いや、10万倍も（←いや、10万HIT記念ですんで）美しい！」 「な、な、なんですって！」 「自明じゃないか。」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ まて、会場で今誰か「自明じゃないか」、とぼそりと言ったな！即行で言ったな！そこの吟遊詩人ー！、間髪入れずに言ったな♪ 「し、社交辞令だッ！そんな怖ろしいことを素で言えるわけがないだろうが。」 「管理人さん（ニコニコ）。」 はい、ファナさん、なんでしょうか。 「カナンさんをあまり苛めないであげてください。本当に社交辞令なんですから、私、そんなに綺麗じゃありませんもの…ね、カナンさん。」 あ、カナン、硬直してる。うわ、こういう場合、どうフォローすればいいんだ。あ、（ランディがニコニコしながら話し始める） 「外側の美しさって言うのはさ、人によって基準が全然違うものなのさ。基準がしっかりしてるのは内側の美しさだよ。何百年も人間を見ていると、本当にキレイな人っていうのはね、周りの空気が澄んで輝いてみえるのさ。僕は社交辞令じゃなくていうけど、ファナちゃんは本当にキレイだよ。あ、先を続けなくちゃね。王妃様、どうぞー！」 さすが半神、慌てないなあ。 「な、なんですって、あの兵士長、よくも私を謀りましたわね！そしてあの王女、生かしておくわけにはいきませんわ！私の可愛い使い魔たち！王女を捜しなさいッ。そして殺すのです！王女だけではない！私の計画を邪魔する光の性を持ったものたちは皆殺しにしてしまいなさいッ！」 そういってお妃様が手にしたワンドを振ると、金色に光る目を持ったコウモリや鳥、蛇や蜥蜴、その他の魔物達が現れて窓から外に飛び出していきました。と、外で少年の悲鳴があがりました。 「?!今のことを誰かに見られたッ!?…ほほほ、それでは私はその『誰か』を捜し出して引き裂くことにしましょう。ふふふふふふ。」 それから暫くの間、ファナ王女は森の小屋で『ハイホー』の歌を皆と歌い、腕を組んで踊り、楽しく過ごしていました。（黄色の人とだけは踊りませんでした。一度手を握っただけで黄色い人は昏倒してしまったのです）昼間は皆、鉱山に行ってしまうのですが、７人は毎朝、王女様にこう言いました。 「「「「「「「「お姫さま、俺（私）達が帰ってくるまで、どんなことがあっても誰も家に入れてはいけないよ。悪い奴かもしれないから。」」」」」」」」 留守番をしている間、王女は編み物をしていました。夢の中で神様が「小さな上着を11枚編みなさい。それが完成したときにきっとステキなことが起こるでしょう」とおっしゃったからです。…あ、会場ではエリザベス母さんの編み物教室が同時進行してますが、ま、交流するのもいいでしょう。 ある日、お日様が一番高く昇る前に、扉を叩く音がしました。王女が窓から覗くと人の良さそうな小間物商が立っていました。 「中に入れなければいいですよね。」 そう独り言を言って、王女は扉の上半分だけを開けました。すると小間物商は茶色の帽子を取ってお辞儀をしました。 「私はメレイという旅の小間物商です。美しい娘さん、あなたにお似合いのきれいな櫛があるのです。ほら。」 「まあ、綺麗！」 王女が櫛を見て可愛い声を上げると小間物商はにっこりしました。 「どれ、もう少し頭をこちらに、私が髪を梳いてあげましょう。ほら、どうです？」 髪を梳いてもらっているうちに王女はくらくらとしてきました。櫛には毒が塗ってあったのです！倒れた王女を一瞥して小間物商は黒い鳥に姿を変えて飛んで行きました。 しかし、王女様は死にませんでした。どこからともなく11羽の仔ペンギンが現れ、扉をよじ登って中に入ると櫛を外したからです。仔ペンギンたちは王女が息を吹き返したのを確認すると去っていきました。 「私は夢を見ていたのかしら。」 王女様が起き上がるとまた、ノックをする音がしました。今度は優しそうな女の人が立っています。王女様はまた扉の上半分だけを開けました。 「あら、シーラおかあさま！」 ファナさん！素に戻らないで下さいってば。 「私はシーラという機織です。可愛い娘さん、あなたにぴったりの帯がありますよ。ほら、締めてあげましょう。」 機織が帯を王女の腰に巻いて締め付けました。帯はどんどん王女の細い腰に食い込んでいきます。そして王女は息が詰まって倒れてしまいました。倒れた王女を一瞥して機織は黒い鳥に姿を変えて飛んで行きました。 すると、またどこからともなく11羽の仔ペンギンが現れて苦労して帯を切りました。仔ペンギンたちは王女が息を吹き返したのを確認すると去っていきました。 「…今日は悪い夢ばかりを見るわ…」 王女はそれから暫く編み物を続けていました。10着目のジャケットが仕上がって、11着目も片袖を残すだけとなったとき、また、ノックの音が聞こえました。今度は吟遊詩人が立っていました。立って… おい、立て！ 「・・・・・・・・・凄く嫌な予感がするんで出たくない。」 却下！ あ、今回は特殊メークが必要なんで、うわ、くるみちゃんが待ち構えてるよ。…お願いだから抱きつく暇があったらメークをしてね。 続けるぞ。吟遊詩人は二目と見られぬような醜い顔をしており、薄汚れており、みすぼらしい襤褸を纏い、足をひきずり、とても疲れた様子で立っているのもやっとのようでした。 「私は旅の吟遊詩人です。どうか一晩とめて下さい。」 今にも倒れそうな吟遊詩人の様子に、王女様は思わず扉をあけて彼を中に通しました。椅子をすすめ、シチューをあたため、節くれだった手にスプーンを握らせます。 吟遊詩人は苦しそうに言いました。 「あなたは優しいのですね。どこのものともしれない醜い私をこんなに気遣って下さる。私のこの姿を見て、他の人は泊めるどころか話してさえもくれなかったのに。」 王女は答えました。 「困っている方を助けるのはあたりまえのことです。それにあなたはとても苦しそうでした。」 すると、吟遊詩人は震える手で懐から一輪の薔薇を抜き出しました。薔薇は見事な大輪の赤薔薇でしたが、頭を垂れて、枯れる一歩手前のようでした。 「私には何もお礼ができません。せめてこれを・・・」 まあ、綺麗、と手を差し出した王女の指に、薔薇の棘が刺さりました。そして王女は倒れ…って、…倒れて下さいよぉ、ファナさん。 「あの・・・管理人さん、この薔薇には棘がないんですけれど。」 !?カナン、その薔薇どこから持ってきた。 「あ、いや、小道具の薔薇を探していてたら、通りすがりの紫色の奴に『これを使うのであるｖ』って渡されて…」 副官がトゲ抜いた薔薇だな!?とにかくファナさん、演技だけでどうぞ。 王女は薔薇の棘に刺されて気を失いました。吟遊詩人は王女の胸に薔薇の花を乗せると黒い鳥になって飛んでいきました。入れ替わりに11羽の仔ペンギンたちがやってきて、王女の体をさすったり、冷たい水で額を冷やしたりしましたが、王女様は目をさましてくれませんでした。どうしてよいかわからなくなった仔ペンギンたちは王女様をとりまいて・・・ そこ！ マイムマイムを踊るんじゃあありません！ 王女様を取り巻いてさめざめとなくばかりでした。丁度そこに７人の鉱夫達も帰ってきましたが、やはりどうすることもできません… 丁度その頃、鉱夫達に王様への伝言を託された白兎ことイナバさんは、赤い肩掛けカバンに手紙を入れて、お城への道を急いでいました。すると、目の前に小山のように大きな犬が立ちふさがりました。地獄の番犬とも言われるケルベロスです！イナバさんは覚悟を決め、ぐっと拳を握って（←手、握れるのか？）ファイティングポーズをとりました。…戦えるのか!?イナバさん、勝てるのか、イナバさん！ 更に、城の中では、魔物が王妃の部屋の窓から飛び出していくのを偶然見てしまったカイ少年が、王妃の手下の魔物たちに、炊事場の奥の倉庫へ追い詰められていました。少年の武器は手に握ったフライパン1つだけ。クリーンヒットすればかなりの威力はあるものの、目の前に迫っている魔物の数は十匹以上。 「ああ、せめて大きな肉たたきを掴んでくればよかった！」 さあ、どうする。！ 仮死状態の王女様は助かるのか!?彼女の胸の上にのった赤薔薇は何を意味するのか!?ジョセフィンさんとアサシンの動向は？そして、イナバさんはケルベロスに勝てるのか？カイ少年は…勝てないだろうから、どうか助けよ来てくれ！ 11羽の仔ペンギン、七人の鉱夫、三人のメイド、そしてローンと「黒森の賢者」の出番を管理人はうまくつくれるのか!?隣の国の王子さまは、おとぎばなしの王道を走ってしまうのか？ そして、あの強大な魔力を持ったお妃様に立ち向かえるのか？ 更に、紫マントの御仁の出る幕はあるのか!? 運命の糸が絡み合ったまま、後編（完結編）へと 続く！（っていうか続いてしまいます） |
| またやっちゃいました。シーマ、ごめんね。 |
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