10万HIT記念へっぽこおとぎばなし
昔々、私達が知っている一番速い船が一年かかってもまだたどり着けないほど遠くに、1つの王国がありました。 「何ッ！……一番速い船、つまりは我が艦“ギャラクティックジョーズ”がたどり着けぬ、とな!?そ、それはもしや宇宙の果てに存在する国であるのか!?」 その国は小さな国でしたが、太陽はぽかぽかと輝き、大きな湖にはキラキラとした水が湛えられ、穀物が豊かに実るたいへん素晴らしい国でした。 「うむ、うむ。諸君、自然を司る女神に感謝を！」 その国の王様は国民から非常に愛され、美しい王妃さまと結婚され、姿も心掛けも立派な11人の王子とその妹である野に咲く白百合の花のように可憐な二人の王女に恵まれました。しかし、王妃さまは二人目の王女様を産んですぐに儚くなってしまわれました。 「おお！なんということだ！（さめざめと泣く）我が母上と同じような境遇ではないか！ああ、今も私は忘れてなどおらぬ。上の瞼と下の瞼をしっかと閉じりゃ、昔の母上の姿が…（目を閉じる）……！な、何故だ！見えぬ、見えぬ！いつもは見えた母上の顔が瞼を閉じても見えぬ!!」 （どこからともなく“ジン様〜〜ッ！”という掛け声がかかる） あんたはまだ時代劇ネタをひきずっておるんかいな。それによりにもよって、馬場の忠太郎かい!?、このネタ、よほどの時代劇ファンでもなけりゃわからんですよ。とにかく、黙っているように。このままじゃすすみませんから。 涙に暮れていた王様でしたが、やがて新しいお妃様がお城にいらっしゃると、お顔に笑顔を取り戻されました。しかし、こんどは王子さまたちが、揃って姿を消されてしまわれたのです。そして続いて上の王女様も…嘆き悲しむ王様は、王子様と上の王女様に注いでいらした愛情の分も合わせて末の王女様を愛するようになりました。 もうすぐ王女さまの十八歳の誕生日です。国中からたくさんのお客様たちが集まってお祝いが開かれます。そして、その次の日のパーティーには隣にある大きな国の王子さまもいらっしゃるのです。王様は王子さまが素晴らしい人ならば、王女様と結婚させたいと願っていました。このお話は王女さまの誕生パーティーの準備から始まります。 ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 城の中はどこも慌しい。庭師たちが植木の剪定に精を出し（←もちろんあの人たちです）、飾り付けをもった人々が往き過ぎるかと思えば、賄い方たちは料理の仕込みに余念がない。しかし、それも夕方には一段落し、今はかがり火を囲んで飲んで歌って踊って…下働きのものたちの団欒のひと時である。この城で働いているカイ少年も、皆に混ざってあかあかと燃える篝火を見つめて… ないじゃん!? おーい、カイユン、どこ行った？ …おやおや、炊事場でネネさん＆ミランダさんとパイ生地前にして嬉しそうに何か作ってますか？おい、出番だってば。 「は、はいッ！すみません」（ダッシュして前掛けをしたままやってきて座る） 少年が篝火を見ていると、ん？何を難しい顔してるのかな？ 「…あの、僕ってこういうところに出るとき、なんで少年サイズなんでしょうか。」 …それに答えると世界の深淵を見てしまうことになるから、考えないようにしなさい。ほら、ほら台本に戻る、戻る！…しかし、今回は楽ですねえ。無理矢理顎を落とすような名前を考えずにいつもの名前をちょっと変形させただけで使えるから。 篝火を見つめる少年の横に、美しい娘がやってきて座った。生成りのブラウスに茶のスカート、栗色の髪は白い三角巾できゅっと結ばれている。下働きによくある姿だが、カイには見覚えがなかった。じろじろと見ているカイに向かって娘は微笑み、カイは顔を赤くした。 「私はジョセフィン、こんどの宴のために城下町からお手伝いをしに来たの。怪しいものではないわ。」 「あ、そうだったんですか。僕はカイです。小さい頃に盗賊団に捕まってこの国に売られてきたのを兵隊さんたちに助けられて、それ以来ずっとここで働いています。」 ふぅん。と娘はいい、それじゃあ君はここの人たちに詳しいわね、と呟いた。カイが詳しいかどうかはともかく、いろいろな方にお世話になっています、と言うと、娘は真顔になった。 「陛下や王妃さま、王女様ってどんな方？」 「陛下はとってもいい方です！週に一度は炊事場の方にも来て僕達にお声をかけて下さいますし、僕達の言うことも聞いて下さいます。王女様はとっても優しい方で、僕は……故郷のことを思って中庭でメソメソしていたときに、偶然王女様にお会いして、そうしたら、王女様は僕に甘くておいしい砂糖菓子を下さって、そりゃあ綺麗な声で歌を歌って下さいました。…王妃さまは…うーん、王妃さまはこちらに来てからまだ日が浅い方ですし、僕はちょっとよく判りません。でも、とっても美しい方ですよ。…遠くからしかお見かけしたことありませんが。」 「そうなの。王妃様の美しさは城下町でも評判だったわ。騎士様や魔道士様たちはどんな方？とても強い力を持った方々だとうかがっているけど。」 ジョセフィンさんの方が王妃さまよりずっとずっと綺麗だな、とぼんやり思いながらカイは続けた。 「近衛騎士隊長のローン様は豪放な方ですが、とても気さくで、やはり僕達に声をかけて下さいます。筆頭宮廷魔道士様は、真の名前を明かしておられませんが、あの、オーカー家を束ねる方で、『黒森の賢者様』と僕らはお呼びしています。騎士隊長様と賢者様がいる限り、このお城は大丈夫ですよ。」 …騎士隊長はともかく、賢者の方はちょっとヤバイ気がするんですが… 「……城下町でね、ヘンな噂を耳にしたの。王女様を殺そうとしている悪い奴がいるって。」 「そんな！あの優しい王女様を殺そうとするなんて！」 あくまでも噂よ、といい、ジョセフィンは立ち上がるとスカートから土埃を払った。 「気にしないで。こういうときってデマが流れるものだから。」 王女を殺そうとしている輩がいる…その噂は王のもとにも届いていた。王は早速王女付きの３人のメイドに連絡を取った…って１人しかいなじゃん。くるみちゃん、あとの２人は？…つうか、あんた、ヤケに嬉しそうだね。 「だって、憧れのメイドさんになれたんですもん！兼ねてから万全を期して縫って置いたコスがやっと日の目を見たのよッ！（きゅっと握りこぶし）あ、くるみじゃなくって“ウォルナッツ”って呼んでネｖ」 …メイド服って前もって縫っておくものなのか？ 「…そして、王子さまが11人なんて!!両手両足繋いでもまだ７人も余っちゃうなんて！もしや玉の輿？今度こそ、かっこよかったりかわいかったりする人をギューってできる!?きゃーｖ…でも、11人ってどうして11人？」 いや、もとネタはあるんですけどね。たまたまFE子世代の王子も11人いますし。 （悪寒がFE王子達の背を駆け抜ける。そうか、11人も居たか。さすが、王族の巣窟、FE。） とにかく話が進まないので、あとの二人を連れておいで、…って、くるみちゃんの腕力じゃ無理か。ほれ、各部屋、責任を持って引っ張り出して来い、って、文字通り引きずってきてくれましたか。ありがと、ファルとおと〜さん…フィリアもシルも往生際が悪いというかなんというか。 「「なんで俺達がこんなの着なきゃいけないんだよ!!」」 「え〜？シル、似合ってるよ？」 「そうですわ！フィリア、あなたにはそういうのがお似合いなんですことよッ！…あ、あたくしには全然似合ってくれませんのにッ！」 …うん、妙に似合ってる…ファンクラブ設立されてもおかしくないくらいに似合ってる。 「「だからってどうしてこんなフリフリの装飾過剰の…」」 「あたしの渾身の力を振り絞ったメイドさん服に何か文句があるっていうのッ!!」 あ、…フィリア、もシルも迫力負けしたね。おや？メイちゃん、何か？ 「……メイドの服ってそこまでフリフリではありませんけど。エプロンもそんなにレースがふんだんに使われてはいないです。」 あー、あまり考えないように。（管理人も考えたくないです） とにかく３人が、侍従から銀のトレイに乗ったティーセットを受け取ると、そのポットの中にメッセージが書かれた紙片が入っていた。３人が読み終えると、火の妖精がやってきて紙片に火が付き、メッセージがそこにあったのを示すものは軽い灰だけとなった。フィリアが窓から空を見て、ぐっと拳を握った。 「陛下。わかりました。この拳にかけて、我ら３人、王女様のお命をお守り申し上げます。……って、管理人俺とこの空間移動できるシルはともかく、ウォルナッツ、戦えるのか？」 大丈夫、大丈夫、ある意味この３人の中じゃ、くるみちゃんの破壊力（←何を破壊するかと問われると困るが）はピカ一だから。必殺技もあるし。 「必殺技？」 …ぎゅー、とか… 「何だ、それ。」 ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ その深夜、しん、と静まり返った城内に蠢く影があった。回廊を音もなく進む人影…影は城の構造を知り尽くしているように迷いなく道を進み中庭へと侵入し、古びた東屋に入ると大きく息をついた。 と、そこに「影」をつけてきたらしい者が飛び込んできて「影」を捕らえようとしたが「影」はそれに気づいていたのかすっと飛びのいて逃れた。「影」の顔を覆っていた覆面だけが襲撃者によって取り払われた。……白く冷たい月光が「影」の顔を照らす。それはまだ若い男の顔であった。男は言った。 「俺の顔を見たからにはあんたが誰であっても生かしておくわけにはいかない。」 左手でで腰から短剣を抜く。刃が妙な具合に光っているのは毒が塗られているせいであろう。男の右腕からはたら、と血が滴っていた。 襲撃者はいとも簡単に足で短剣を蹴り落とすと、今度こそ「影」の体を捕らえ…驚いたことに男の手当てを始めた。男は観念したように力を抜き床に体を横たえ、…舌を噛もうとしたところに襲撃者は布キレを突っ込んできてそれを阻止した。 「顔を見られたら相手を殺す。それができなければ自分で命を絶つ。それがあなたがたの掟だということは知っているわ。…でもその必要はない。私の顔をしっかり見て…」 男は襲撃者…ジョセフィンの顔を見て目を見開いた。 「お前…いえ、あなたは…」 男はジョセフィンの首に手をかけ、ぐっと引き倒してキスしようと…って、そんなこと、台本にないぞ、マリオ！…あ、もう早速フライパンとノートパソコンの角とアッパーカットと背負い投げの洗礼くらってますから私からのお仕置きはパスしときましょう。 ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ さて、夜があけ、大広間には王女の誕生日を祝う国内からの客人たちが次々とやってきていた。お客達は王女にそれぞれ素晴らしいプレゼントを用意してきており、祝福の言葉をくれた。 「管理人。」 うわ、何です？史生さん!?（ドキドキドキ、この人からは声をかけられるだけで身が縮むのは何故だろう） 「玉座に姫と王がいないが。」 ああ、そういや、決めてなかった。姫っていうと結構たくさんこのサイトにはいるんですが… あ、アリーナが勢いよく手を上げていますが…ごめんね、ちょっとイメージが違うんです。 「僕らの世界、ユグドラルの住人ではどうですか？」 あ、セリス君、…性格的には問題ないんですが、何せ皆さん戦闘能力高いでしょう？ラナちゃんでさえ、クラスチェンジしてからは攻撃魔法バリバリ、アルテナ王女に到っては、どんな襲撃者が来ようとゲイボルグの一旋でズンバラリだから、ご好意は有難いのですが、ちょっと…王女様で、戦闘能力低くて、どっちかっていうとちょっととろくさいような人が好みなんですが…わわ・・・ほぼ全員の視線が一人に向かってるよ。…依存はありません。お願いします。 「私、ですか？」 きょとんとして自分を指差していらっしゃいますが、そうです、あなたです、ファナさん、宜しく。着替えてきてね。なんだ、カナン、何震えてる？ 「いや、奴が出てくると俺が不幸になる気がしてたまらん。」 王女が決まったのであとは王様なんですがこれはウェンス王やサントハイム王、或いはエンドールの王様にお頼みしようかと… 「何をいう。王様は王女のおと〜さんではないか！おと〜さんがやるぞ！」 へ？ 「だから、このかっこいいチェイスお兄さんが王女のおと〜さん、つまり王様をやってあげようじゃないか。なｖ」 ……ちょっと不安ですが…やりたいのなら止めはしません。えっとこれが台本、じゃ、着替えて…て、もう王様の衣装ですか!?…（あの衣装も体組織の一部と思うとちょっとコワイ）あ、ファナ姉さんも着ましたね。うんうん、薄い青のドレス、綺麗ですよ。じゃ、本編に戻りましょう。 お客様達の中に、招待された占い師がありました。あ、ミネアさん、よろしく。 「この国の辺境に住まう占い師でございます。私は王女様の将来を占って差し上げたいと存じます。」 王女は頷くと占い師の前に進み出た。占い師は右手で王女の手をとり、左手で水晶玉をしっかりと抱え、強く何事かを念じた。 「はッ！これは!!」 ・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ミネアさーん？ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ もしもーし？ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ もしや素で何か視えちゃいましたか!? 「「「ファナ（姉さん）に何か!?」」」 あ、ミネアさん、ライスリート三兄弟に取り囲まれてる。と、とにかく先、行っちゃって下さい！ 「王女様は…王女様は悪しき運命に捉えれて…お命を…」 占い師はそう言って俯いた。しかし、そこに輝く羽を持った妖精が…おーい、ナナちゃん！ 「なんですかー？はうッ!?出番でしたのですかー。今いきますですー。」 ……おもむろに醤油ラーメンの匂いがしますが… 「あわわ、でも、ナナはちゃんとお芝居をしっかり見ていたのですよ。えっへん。では台詞を言いますねー。私は幸運を呼ぶ妖精ですー。占い師さんの占いは外れることはありませんー。王女さまはお命を落としたように見えるかもしれません。でも、ナナの幸運の力を使うと“実はぐーっすり眠っているだけ”ってことにできるのですー。でもいいですかー、悪い人を懲らしめないでそのままにしちゃうと、王女様は本当にしんじゃいますからねー。がんばるのですよー。もしかのときにはまたナナを呼んでくださいねー。」 こういうときの語尾延ばしは、なんと説得力がないのだろう。 幸運の妖精のお陰でその場はひとまず収まった。成人の儀式は終わりを告げ、日が暮れた明日は国外からも賓客が招かれて大きな宴が開かれる予定である。 そんな中、ファナ王女はこともあろうに森の中に居た。彼女の手を引くのは、兵士長のロム。王女が幼い頃より見知っており、また絶大な信頼を寄せている男であった。ロムに呼ばれ、王女は３人のメイドの目を自らすり抜けて導かれるままに城の外に出たのであった。 暗い森の中をどれだけれだけ奥に入っただろうか。ロムは足を止めた。そして言った。 「王女様」 王女は優しく答えた。 「何でしょう、ロム。」 その言葉に、自分に対する信頼を感じ取ったロムはゴクリと唾を飲んだ。 「…私にはできない…」 「何のことですか？」 「……私は王妃様より、王女様を殺すように命じられ、ここまでお連れ致しました。…しかし、私にはそのようなことはできません！…どうかお逃げ下さい。森を抜ければそこはもう隣の国です。どうか、お気をつけて！」 「でも！ロム、あなたはどうなりますか。お義母さまに罰せられるのではありませんか。」 自分を気遣ってくれる王女にロムは笑って見せた。 「ご心配なく。森で獣を狩り、その心臓を取って、それが王女様の心臓だと偽って王妃に届けることに致します。早く、早くお逃げ下さいませ！」 王女は走った、走って、もうこれ以上動けないと思ったとき、彼女の目の前に小さな可愛らしい家が立っているのが見えたのであった。 つづく |
| 続いております。前回の「へっぽこ時代劇」と同様、「こいつを出せ〜！」「こいつをこんな役で〜」などと言っていただければ、次回で多少なりともご意見が反映されるかと思われます。まだアレとかアレとかが登場していないので、メインメンバーは必ず出すつもりではおります。ゲームキャラクターに関してはあまり主役をはった登場はさせられないと思いますので悪しからず。 |
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