この幸せは…

ゲーム「風色サーフ」の二次創作です。 超短文かつ「なんとか甘いものを書こう」として結局そんなに甘くならなかった代物です。 捏造甚だしくなにかと暴走中。言葉のリズム遊びを優先しているので、文そのものに不自然なところがありますがご笑覧下されば幸いです。 時期はアレックさんED後かなり経ってからで赤ん坊までおります。 ネタバレに留意しておりません。また、ゲームをクリアしていない方にはわからない部分が多々あるかと思いますがご承知置き下さい。 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

さっきから、ディックををじっと見ているけれど、どうしたんだい？何か気になる？ 　アレックさん、心配なのじゃないんです。指がちゃあんと五本もあって、小さな爪までついていて、“なんだか凄いな、とっても不思議”……なんて思っていたんです。こうして無事に生まれてくれて、この上もなく嬉しくて、怖いくらいに幸せで 　俺もとっても嬉しいよ。ディックが生まれてきてくれたのは、エリカがずっと長い間、お腹の中で育ててくれた、守ってくれた、だからだよ。俺は君に感謝しなくちゃ。 　ううん、そんな。私一人で生んだのじゃない。一人じゃこの子は居ませんでした。瞳の青は空の色。アレックさんと同じ色。アレックさんが居てくれたから、この子はここに居るんです。 　俺がこうしてここいるのは、エリカが翼をくれたからだよ。もしも君がいなかったなら、俺は今でも飛べなかったろう。君が翼をくれたからこそ、俺は指輪を渡せたんだよ。 　それは貴方が優しかったから。補給班とのあの旅に、私を誘ってくれたから。 　頑張り屋さんの君だったから。頑張ってるのにうまくいかずに、悩み続ける君を見てたら、何ができるか、何かしたいと、自然に思えて仕方がなかった。 　それは、オズウェルが傍にいたから。彼が叱ってくれたから、私も真摯に頑張れた。 　うん、そうだ、彼には感謝しないとね。でも、しかし、そもそも君がロビュに来なけりゃ、この子はここにいなかった。 　それは私の父のところに軍の手紙が来たからです。私の父がこのロビュで飛行機整備を命じられ、私は代わりになるために、止む無くここに来たんです。 　『整備の神』と名高い人を王国軍が聞きつけて、エンジン整備をするために無理に召集したのだね。 　はい、自動車と飛行機は随分違う子達ですけど、移動のときにエンジンを使うところは同じですから。でもここが、航空隊でなかったら、飛行機を、扱う場所でなかったら、私は他の部隊に行って、アレックさんにも会えなかったわ。 　空を離れた俺だけど、いつかは空に還りたい、と思う気持ちを見抜かれて、クラウス司令の招きをもって、この小隊に配属された。だから君にも会えたんだ。 　ここにあの子……オオルリが、居たから、私、会えたんです。 　そうだね、相棒……オオルリが、居たから、俺は君に出会えた。 　　＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 　「親方、だから、この子がこうして生まれてきてくれたのは、もとを辿ればすべてドックにいるあの子たち、オオルリのおかげなんです!!」 　と出産のお祝いに来たナカジマに真顔でエリカが言うと、整備班の長は 　『ばーか、そんな訳ねえだろうが』 　と半ば呆れ、しかし至極嬉しそうに大声を出した。

「内容が無いよう！」的な日常断片小話です。親方の言うとおり「そんな訳がない！」ですが、オオルリに感情というものがあったなら「そうさ、俺のおかげだよ！相棒、そして僕の世話をしてくれる可愛い奥さん、えっへん！」と嬉しそうに胸をはったかもしれません。 (↑甘いのを目指し、…………結局はオオルリで終結……甘くない……)

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