さて、いい汗をかいた（？）あとで、また順番が巡ってきた。 「よーいやせッとッ！」 ・・・・・フィリアの掛け声もなんだかわけがわからなくなってきた。おお、出目は１６。なかなか運が良いようである。てけてけと進んでいくとそこには青く輝く小さな光の井戸のようなものがあった。そしてそこには銃とメモが・・・・ 「なになに。“毒で森の木々を枯らしてしまう悪い魔物と戦って懲らしめ、その証拠に足を一本貰ってくること。いいか、必ず足を一本。絶対に足を持ってくるのだぞ”。やけに足に拘るなあ・・・・・・何だか嫌な予感がするんだけど・・・・・とにかく行くしかないか！」 フィリアが光の井戸に飛び込み、ブルーも後を追った。 そこは灰色の森だった。地面はじとじとと湿っている。きっとここに魔物がいるのだ。一時間も歩いただろうか。突然目の前が開けるとそこは寒々とした沼であった。風はなく、灰色の水が静かに淀んでいる。ブルーもフィリアも身動き1つしなかった。敵が潜んでいることを五感で感じ取っていたのだ。さざなみが立つ。 「来た！」 フィリアが右へ、ブルーが左に飛びのく。二人が先ほどまで立っていた場所には灰色のぐねぐねした魔物の足がのたくっていた。 「ふッ！アレはタコか？イカか？」 「わからん！魔物だ。タコでもイカでもないだろう。」 フィリアはにや、と笑った。 「どっちでもいい。なかなか強そうだ。」 しかし、余裕の表情を見せていたフィリアも、本体を目にして顔色を変えた。・・・兎に角巨大だ！どこが弱点だ？。12本ほどありそうな吸盤つきの足がぐっと伸びて襲い掛かる！フィリアは軽く避けたが、ブルーは腰のあたりを打撃された！フィリアは振り向きざま回し蹴りをして魔物の足を強打した。魔物はブルーに巻きつけかけていた足を怯んだように引っ込める。ブルーの銃も何発か命中し、フィリアの拳もヒットしたが、魔物は弱ったようには見えない。 「おい、大丈夫か？」 「ああ、なんとかな。」 「・・・・このままじゃ埒があかないぞ。やつの体力は底なしだ。いろいろ手を出したがどこが弱点なのかさっぱりわからん！」 「止まってはいけない。狙われるぞ！やつは沼の中から足を伸ばして攻撃できる分有利だ」 「わかってる・・・・ちょっと考えがある！俺に攻撃させてくれ！」 フィリアが攻撃させろ！と言っていますが・・・・さあ、どうする？ フィリアにおとりになってもらいブルーが銃で攻撃 ブルーが援護射撃をし、フィリアにトドメを刺してもらう とにかくフィリアに任せてみよう |
「それはできない。」 「何でだよ！」 「今のあなたの言葉は自信に溢れてはいなかった。…これは双六遊びなんですよ。命をかけてどうしますか！…どうしてもというならあなたがおとりになって下さい。私がしとめます。」 「・・・・そっか。じゃ、ま、せいぜい暴れてくるぜ。」 「・・・・・・当たるとまずいですから、私と魔物を結ぶ直線状に入らないように。」 「了解！・・・でもどんなことがあったって、あんたは俺には当たんないように撃てるだろ？・・・・信じてる。」 フィリアは駆け出していった。魔物はフィリアに翻弄され足を無茶苦茶に動かしている。ブルーはノーマークだ！ 有能なる副官はゆっくりと照準を構え撃った！レーザーは魔物の目の上に当たった。そして次の射撃！魔物の目が潰れた！途端に魔物の動きが弱弱しくなった。その隙にフィリアが拳に力を込め、魔物の足を一本切断した。 「終わったな・・・・」 慌てて逃げていく魔物の後姿を見つつフィリアは呟いた。 「さあ、帰ろうぜ。足もいただいたことだし」 一応何事もなく終わったようですね。 副官の不幸に＋０して下さい さて、シーマはどうしたかな・・・？ |
「一人だけでは無茶です。私が援護しましょう。」 「ん。了解だ。そうしてくれるなら正攻法で行くか！岸までひきつけてくれ！」 と、フィリアは何処へか消えた。ブルーはトリガーをひく。魔物は怒って近づいてくる。ブルーは後ずさりし、またトリガーをひく。…安全な距離を保ちながら彼は魔物を沼から岸に上げることに成功していた。 「よし！」 上からフィリアが降ってきた。いや、近くの木に登ってそこから飛び降りたのだ。彼女の必殺の蹴りで甲の部分がぐにゃりとひしゃげる。体を少しかがめた魔物にフィリアは連続して回し蹴りを叩き込む。その速さと的確さにブルーは舌を巻いた。いや、アレはかなり楽しんで蹴っている。もう絶対優位を確信した戦い方だ。・・・・赤いフレアースカートが高速回転でふわっと広がり・・・・拡がると・・・・外側だけでなくて・・・・・スカートは上の方にも上がっていって・・・・・・ ブルーは手で顔を覆った。 （少しは自覚して欲しいのだが！） …何か見えたみたいだ。 暫くして魔物の足を一本引きちぎったフィリアが意気揚々と引き上げてきた。 「よう。奴は逃げてっいったぜ！・・・・どうした・・・・な、なんだよ、その説教するような目は。俺、なんか悪いことしたか？」 ・・・・実害はなかったのだが、ブルーはなんとなく自分が不幸な気がした。 副官の不幸に＋６してください。 （いや、そこはかとなく不幸らしいです） さて、そろそろシーマの様子を見てみましょうか。 |
「わかった。あなたにお任せします。」 フィリアは大きく頷いた。 「じゃ、ちょっと行って来る！」 そのままフィリアはたたたたた、と沼に向かって走り、ぽーんと飛び込んでしまった。 「な、何を！！」 それから何が起こったのかはブルーには定かではなかった。ただ、水面下で激しい戦いが起こり、魔物がばたばたと暴れ、やがて一目散に逃げて行き・・・びしょぬれのフィリアが魔物の足を一本背負って嬉しそうに戻ってきたことしか・・・・ 「思ったとおりだ。タコやイカにしちゃ、あいつの動きは陸で素早かったからな。半陸生の奴は水中のガードが甘い。潜って下から攻めたら楽勝楽勝。…でもいい勉強だった。今回みたいな柔軟性のある筋肉をもった敵にはよほど一点に力を集中させないと危ないってな。」 フィリアはブルーに魔物の足を投げてからふるふると首を振った。飛沫が飛び散る。白い袋（←サンタの奴ね）からタオルを取り出し拭きながらうんざりした顔をした。 「着替えの1つも持ってくるんだった。まさかこんなことになるとはね。」 と、ブルーがメタリックブルーのジャケットを脱いで差し出した。 「そのままでは風邪をひく。普通でも私の腰まで来るジャケットですからスカート並みの長さになると思います。」 「いいのか？悪いな。サンキュ！」 素直にフィリアは受け取った。ブルーは後ろを向く。 「おーい。」 しばらくして呼ばれ、素直に振り向いたブルーは顎を落とした。 「すまん。どうしてもこの金具の止め方がわからん。な、なんだよ！何故逃げる。教えてくれよ！」 ・・・・なんか見えてたらしい。 ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 「そんなこと気にしてどうすんだよ！俺、下着は一回絞ってからちゃんと着てたぞ！どーしてそんなこと気にするわけ？」 気にしない方がおかしい。 第一、今の状況もよろしくない。ジャケットは無闇に大きくて、衿のあたりから胸元が見えそうであるし、裾が長めといっても、どう見てもこれはミニスカートにしかなっていない。その上髪が濡れそぼったフィリアは本人の自覚皆無だが妙に色っぽいことこの上ない。 （この状態で双六会場に戻ったら何を言われることか…） ブルーの頭を偏頭痛が襲った。なんだか最大級の不幸を背負った気がする。・・・ああ、この格闘娘に任せるのではなかった。 しかし会場には戻らねばならない。早く戻らなかったら戻らなかったで何を言われるかわからないのだ。 「とにかく先行くぞ！俺、早くシーマに会わなくちゃ！」 フィリアは魔物の足と濡れたサンタ服を白い袋に入れると、もと来た道を戻り始めた。そのあとにブルーがため息をつきながら続いた。 副官の不幸に＋１５して下さい （ばっちり不幸になっているみたいです） さて、そろそろ総帥の方に目を移してみましょうか |