「さあ、ブルーよ！振るのだｖおお！いつの間に客人を呼んだのであるか？うむ。友とはいいものだぞ！よし、これよりミッションは２人用に変えるのだｖ」 　また順番が回ってきた。 　「えいッ！」 　フィリアが念を込めて転がしたダイスの目は15。なかなかの出目だ。走るが如くに移動して着いた先は・・・妙に広いコマだった。そしてカードが置いてある。 　「この広さは一体・・・・」 　「運動系のミッションだと思われますが・・・」 　フィリアは気合いを入れてカードをひいた。それは・・・ 武道の型を示せというミッションだった　　社交ダンスをしろというミッションだった　　　己の限界に挑戦しろというミッションだった

「お！これならバッチリだ！模擬戦のようにして各種の技を見せていくっていうのでいいか？」 　フィリアは嬉しげに笑い、シーマに無理矢理履かされていた踵の高いブーツを脱ぎ捨てた。ブルーにしゃがむように言い、自らもしゃがみ、あぐらをかき（←かくな！スカートだ！）、床に指で移動ルートを書きながら作戦を練る。 　「じゃ！行くぜ！」 　短時間の相談、しかも一度も練習したことがないはずなのに、運動神経が群を抜いて良い二人の動きはメインスクリーンにも映され、息のぴったりと合った動きに賛嘆のため息が一同から漏れた。動きに少しの狂いでもあれば、どちらかが怪我をしかねない。副官直属シークレットの面々は、ああ、やはり赤い糸が、と呟いたとか呟かなかったとか（このときシーマたちは別のミッションで留守だった模様） 　「おう！いい汗かかせてもらった！ありがとな！」 　フィリアは拳骨で軽くブルーの腹を殴った。 　ああ、・・・・フィリア・・・また拳で語ってるね・・・・・ 　「いや、私も楽しかったですよ。」 　あ、これは久しぶりに不幸じゃないパターンですね。・・・やっぱり副官の直属の部下はある意味喜んでたみたいですが。 　副官の不幸に＋１して下さい 次、行ってみましょう！

「社交ダンスだと？」 　怒鳴ったのはフィリアである。でもそのカードを引いてしまったのも彼女である。 　「っていうか、こんなのクリックしたの誰だよ？恨んでやる…恨んでやるぞ・・・・」 　あわわ、お客様に暴言吐いちゃ駄目ですってば。 　そしてきっと他の連中はわくわくしながら待っているのだろう…とブルーは暗澹たる気持ちになった。 　「参ったなぁ・・・・・・」 　うんざりだ、という様子で呟くフィリアの横でブルーもため息をついた。パスはできない。何せブルーは一応士官学校の出。不思議なことに、社交ダンスが必修となっている。踊れないと嘘をついて逃げることができない。 　「フィリア殿、ダンスは・・・・・」 　「・・・・・・・・・ここの音楽は多少俺の故郷の奴とは違うだろうが、まあやたら凄い踊り方をしなけりゃなんとかなるだろう。実は俺も実家の宴なんかに出るときのために相当習わされたんだよ。・・・・でもさ、それって全部男のステップだったから。相手をぶんまわすのは結構うまくっても逆はやったことないんだよな。かといってあんたをぶんまわすのは背丈の関係で無理だし。…しゃーない。適当にぶんまわしてくれや。俺は剣舞踊ってるつもりで適当に振り回されてるから。あ、足踏んじゃ気の毒だよな。」 　フィリアはシーマに履かされた、踵の高い赤いブーツを脱ぎ捨てた。ストッキングだけで寒そうだが、本人は気にならないらしい。 　「いざ！来い！」 　・・・フィリア、それは武道の試合の構えに見えるぞ。 　とにかくなんとかその場は乗り切った。・・・フィリアは10回ほどブルーの足を踏み、バランスを崩してブルーにもたれかからざるを得なくなり、本人の言っている通りなんだか剣舞に近かったもののなんか傍から見ると『いい雰囲気』に見えたのも事実である。因みにこの様子は大スクリーンによって全体に映し出されて居た。シーマたちは幸運にも別のミッションに行っていて留守だったようだが。 　「あー、疲れた。もう二度とやりたくねえ・・・」 　疲労し、ブルーの大きな背中に寄りかかってゼイゼイ息をするフィリア。しかしブルーの精神的疲労度はもっと高くなっていた。 　（だからッ！だから寄りかかるならば壁にして欲しいッ！） 　副官の不幸度に＋11して下さい （ますます不幸になったようです） ほら、まあ、いろいろあるさ！次はきっと幸せになるから！

「限界に挑戦？何だ？」 　ブルーは苦笑した。 　「何か記録を持っていればそれに挑戦するということでしょう。ジンベエ様は私の方のことはよくご存知ですから…ほら」 　床からにゅっと何かが出てきた。それはレーザーガンだった。そして壁に的が出現する。ブルーはレーザーガンを取り上げ、しっかりと構えると的に向かってトリガーをひいた。的はぱた、と落ち、別の場所にまた的が！ブルーは振り返りざま、撃つ。一回、二回・・・と合計十回トリガーをひいた。 　９９点！ 　 　一回だけ的の中央を逃したものの見事な成績だ！それはスクリーンで全体に映し出されており、あたりの人々が熱烈な拍手を彼に送った。 　と、ジンベエの声が響いた。 　「青い髪の美しい娘ごよｖ」 　「・・・・・・・・おい、今度美しいとか抜かしやがったら延髄切りを食らわせるぞ」 　・・・・・怖いよ。フィリア。ていうか、延髄切りってどうやるの？（い、いや、言ってみただけ・・・） 　「うむ。美しいよりも可愛いの方が良いのであるか？貴公、光太郎には及ばぬものの、中々可憐であるぞｖｖそれはそうと何か挑戦するものがないか？」 　「うーん。ベルゼブブ連続送還１47匹というのは記録だけど。」 　…召喚されていなかったら送還はできないし、そんな物騒なものこの場に召喚したくないわい。 　「あ、これはどうかな。」 　フィリアはブルーが落とした的・・・厚さ１センチほどの金属製・・・を拾い上げて10枚積み重ねた。 　「この金属の強度がわからんけど、ま、こういうことは日常結構やってるから、これも1つの挑戦ってことで・・・。」 　フィリアは一度目を閉じると気合いと共に金属板に拳を打ちつけた。 　はッ！ 　ガッ！ばきッ！ぴしぴしぴし・・・・・ え？ぴしぴしぴしぴしぴしぴし・・・・？この長く続いている音は何？ ・・・・・・・・・うわ・・・・・・・・・床に穴・・・・・・・っていうか・・・・・・・ぴしぴし・・・亀裂が四方に・・・・こりゃ、土台にまでいってるな。 　「ご・・・・ご免な。予想以上にヤワだった・・・・・・」 　ブルーの頭の中では補習費の概算がぐるぐる渦巻いていた。 副官の不幸度に＋５ （ちょっと不幸になっちゃったみたいです） さッ！気を取り直して次へ！