Ｊ(嫉妬)

今回はいつもにまして短かく自分でも驚くほどお約束です。ごめんなさいです。そして管理人らしからぬ文です。

　もう、あの二人ったら、さっきからずうっとくっついていて、いつまでああしているつもりかしら。

　……クリフトったら、膝の上にあの子を乗せて……私、クリフトの膝に座らせてもらったのって今からどのくらい前？ああ、耳に何か囁いて……頬を寄せて……ああ、クリフトも楽しそうに微笑んでる。今度は髪にキスして……ううん、邪魔したらいけないわよね。でも、でも、……

と、神官が顔をあげ、こっちに向かって手招きをした。

　「は？あれ？気がついていたの？」

　「……緑の植え込みの中から綺麗な蜂蜜色の髪の毛が見えていたら誰だってわかります。どうしたんですか？」

　「あ、あの、ちょっと話したいことがあって。でも、なんだかお邪魔かしら、って思って割って入れなくって。」

　クリフトははぁ、とタメ息をついた。

　「あの、自分の娘に遠慮したり嫉妬したりしてどうしますか。」

　「ええっと、これって嫉妬？」

　神官は優しく微笑み小さな王女を自分の膝の上から抱き上げてアリーナに抱かせ、王女ごとアリーナを膝の上に載せた。そして、傍らに置いておいた絵本を再び広げる。大好きな両親に抱かれた蒼い髪の王女は嬉しそうに小さな歓声をあげた。

　「お父様、さっきのところをもう一度読んで下さい。お母様も。」

　言われるままにクリフトは前のページに戻って読み始めた。

　「悪い魔法使いを倒した王子様はお姫様のもとに走り寄りました。『大丈夫ですか。姫。』すると姫は答えました。」

　クリフトに文章を指し示され、アリーナは自分で声を出して読み聞かせる。

　「『はい、王子様。大丈夫です。お怪我はありませんか。』」

　再びクリフトが地の文を読む。

　「王子様はお姫様を抱きしめ、そっとキスをしました。」

　小さな王女は何かを期待するように見上げている。クリフトは娘の額にキスしアリーナもクリフトに続いて王女を抱きしめてキスし……

　「あーッ!!ずるいー！僕にも僕にも!!」

　城内を駆け回っていた腕白ものの王子が走り寄ってきてキスをねだる。アリーナは王子も膝の上に抱き上げるとキスをしクリフトもキスをし……

　最後に

　大きな方の王女様は、神官とキスをしました！

　

アリーナ結婚後、まだ女王にはなっていない時期。
ある意味自分としては「ダメだ、ギャー！」な内容なのですが、逆にこういう機会でもないと書けないだろうということで。嫉妬の中身ですが、こういう「幸せ家族」の姿を見せ付けられること自体が嫉妬のもとだと思います。
王女はクリフトべったりのお父さん子(将来神聖魔法の専門家確定)です。