| ワイルドアームズ |
「……貴殿は考え方を改めた方がいいぞ。」 風が砂を舞い上げる荒野で、ジンベエは自分と対峙するものに向かって呟いた。 相手は、こちらにあやしげな攻撃を放ってくる。ジンベエは、その端正な顔を少しばかりしかめ、右手を付き出すと、前面にバリアのようなものを張った。 「確かに私は異邦人であるが……話も聞かずに悪意ある態度を取るとは。ああ、嘆かわしい！」 バリアを張ったまま、絹の白手袋をはめたもう一方の手で顔を覆う。 「……愚かな……このような行為は美をも愛をも破壊する……それがわからぬのか。」 ジンベエが熱弁をふるっても、相手はうつろな表情のまま、金色の目を光らせ、その長身からあらたな攻撃を繰り出してくる。 「む……貴殿はそんなに私に魔獣を召喚させたいのか？」 え？魔獣？そして、どうしてそんなに楽しそうなの?? 「攻撃してくるということは、魔獣を召喚させたいのだなｖ」 え？え？え？ 「そうなのであろ？そうかそうか、少々待つのであるvvvvvvすぐに召喚するのであるッｖ出でよッ!!」 すご〜く楽しそうなジンベエの前で、先ほどまで妙な攻撃を繰り出してきていた相手はだらだらと汗をかき始めた。と、そこに、くたびれた砂色のコートを翻した渡り鳥らしい男が割って入り光の速さで敵の胴を薙ぐ。横からは、クレストソーサレスらしき娘の無属性魔法が炸裂し、更に、銃器をもった少年が走り出、大きくジャンプしながら、トリガーを引く。閃光が走りその閃光が収まったときには、敵の姿は消えていた。コートの男――ザック――がマントから砂を払い落しているジンベエの前に進み出る。 「あんた、大丈夫か。たった一人であいつと戦うなんざ、自殺行為だ。」 「…………いや、随分と失礼な輩ではあったものの、目出度いアニヴァーサリーの旅の最中に無粋な戦闘などするのは気が引けて、な。」 え？と顔を見合わせるロディとセシリア。ザックは胡散臭い奴だな、とジンベエを値踏みしている。 「とにもかくにも加勢、感謝する。おや？」 ジンベエは砂の上に落ちていたデュプリケーターを拾い上げた。 「どこの鍵であろう。……逃走した輩の自宅の鍵であろうか。」 違う……絶対に違う。 「おお、貴公らがこの世界の仲間であるか。……いや、実はかくかくしかじかでな……」 「……かくかくしかじか、そういうことか(ああ、ほんとうに『お約束』って便利)。……そうか、もう10年にもなあ。俺たちはごくたま〜に顔を出すだけだが。」 ジンベエは目を細める。 「貴公らの装備……剣士殿のその翠のリボン、娘ごのそのヘアバンド、そして、少年のバンダナ……ずいぶんとくたびれているようであるな！丁度よい、この手ぬぐいで……」 早速リボンをほどこうとしたジンベエからザックは逃げる。 「何故、この至高の色彩のてぬぐいを避けるのだ？」 すると、齢400歳を越える風ネズミ、ハンペンが、ジンベエの肩まで駆け上ってきてくい、と紫紺の髪をひっぱった。 「どんなにいい物でも、思い入れのあるものに勝るものなし、ってね。これからその紫の布をどう使うかはおいらたちに任せておいてよ。」 ハンペンは何もかもわかっている、というように頷き、ジンベエは４本の手ぬぐいをロディに渡し、薄紫色の紙をハンペンに渡し、さらばだ！というとどこぞへと去って行った。紙を眺めるハンペンにザックが、いったいなんなんだ、と尋ねる。 「ん、招待状、だよ、これは。」 そこにかかれていたのはとてもあっさりしたことだった。 『宝物庫への招待状： K 』 |
| WAのことを知らない方には全く意味不明だと思われますが、「はいよるこんとん」の話です。 3＋1がいまでも大好き！設定も相互の立ち位置も絶妙だと思います。 ブラウザバックでお戻り下さい |
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