キャラクターに50の質問

（イナバさん…二足歩行の白ウサギ）
＊このインタビューは梅雨の晴れ間に
街の小さな児童公園で行われました

01　お名前は？
（右前足に木の枝を握って地面に“イナバさん”と書きにっこり笑う）え？あ、あのご本名は？（イナバさんはそのままただ微笑んでいる）
02　性別は？
（ただにこにことひげをひくひくさせて微笑んでいる）
03　出身地は？
（魔法のようにどこからともなく地図帳を取り出し、山陰地方のとある場所を前足で指す）
04　現住所は？
（03の場所から少しだけ離れた場所を指す）
05　地位・身分・職業等は？
（右前足に木の枝を握って地面に“イナバさん”と書きにっこり笑う）え？そ、それはどういう・・・？
06　家族構成は？
（インタビュアーを指し、少し離れた場所を歩いていくビジネスマンを指し、母親に手をひかれている幼稚園児を指し・・・）え、で、ですから、いったい・・・
07　まわりからどんな性格だといわれていますか？
（とん、とん、とインタビュアーのふくらはぎのあたりを軽く３回叩く）
08　自分の性格はどうだと思いますか？
（ちょっと首を傾げて考える。答えはない）
09　どうしてもなおらない癖はありますか？
（ぽーん、と跳ねて見せる）は？跳ねること、ですか？
10　口癖は何ですか？
（首を傾げ、すまなさそうに耳の後ろをぽり、と一度掻く）あ、すみません。喋りませんよね。
11　長所は？
（耳の根元から先端に向かって一度前足を滑らせ、得意げに胸をはる）あ、はい、耳は長いですよね。あ、で、でも長所というのはそういうことではなくて（イナバさんは困惑して目を丸くする）あ、いいです。
12　短所は？
えーと、これはいいです。なんだかなさそうなので。（イナバさんは首をぶんぶんと振っているがインタビュアーは質問を切り上げてしまった！）
13　好きな食べ物は？
（魔法のようにニンジンを取り出して見せる。そして俵まんじゅう、最後に虎屋の羊羹を出し、インタビュアーに“どうぞ”というように差し出す）あ、どうもすみません。
14　嫌いな食べ物は？
（首を横に振って胸をはる）
15　座右の銘は？
（木の枝で『みんなのしあわせ』と書く）
16　好きな単語は？
（『慈（いつくしみ）』と書く）
17　趣味は？
（どこからともなく巨大な白い袋を取り出し、落ちていた空き缶を中に放り込む）は、はあ、清掃活動ということでよろしいですか？（イナバさんはコクコクと頷く）
18　特技は？
（袋から空き缶を1つ取り出し、どこからともなく唐傘を出して拡げ、傘の上で転がし始める）おお、意外な特技ですね。（イナバさんはちょっと照れて“練習しました”と木の枝で地面に書く）
19　今一番欲しいものは？
（空を指差す。青い空には白い雲がぽっかりと気持ちよさそうに浮かんでいる）え？ええと・・・・それは？どういうことで？？？
20　今すぐにでも捨て去りたいものは？
（大きな白い袋を覗き込み、ずっと奥にあるもやもやした黒いものを見てぞっとしたように身震いする）!?・・・・お、教えて下さい、一体何なんです!?（イナバさんは慌てて白い袋をいずこにかしまう）
21　宝物は何ですか？
（インタビュアーを前足で指し、道行く杖をついたご老人を指し、黄色い帽子を被って走っていく小学生を指す）あ、あのぅ、さっきから私を指してくだすってるんですが・・・・・（イナバさんに微笑まれてそれ以上突っ込めない）
22　今旅行してみたい場所はどこですか？
（先程の地図帳のいろいろなページのいろいろな場所を指す）おお、世界中を回ってみたいのですね！（イナバさんはこくこくと頷き、更に中学のある教科の教科書を取り出してあるものをトントントン、と３回叩く）・・・・・・・・・・・そ、そこは無理かと思うのですが
23　お酒は飲めますか？
（どこからともなく一斗樽をよいこらしょ、と取り出し、大きな木槌をインタビュアーに“はい、”というように差し出す）あ、ちょっと我々二人では飲みきれないと思いますが・・・・・え？一人でも飲み切れる!?（イナバさんは大きく頷いている）
24　煙草は吸いますか？
（目を閉じて首を横に振る。そして地面の上の吸殻を拾うとさっきの白い大きな袋をまた取り出して中に放り込む）
25　好きな異性のタイプは？
（イナバさんはただただ微笑んでいる！）
26　嫌いな異性のタイプは？
（地面を前足で指す）は？（ついでドンドン、と地面を足で踏みつける）
27　好きな異性は誰ですか？
（イナバさんはまたただただ微笑んでいる！）
28　嫌いな異性は誰ですか？
（地面の下、深い深いところを睨みつけるようなしぐさをする）
29　親友は誰ですか？
（嬉しそうに大きな袋を肩に担いでみせる）
30　こいつとは絶対に友達になりたくないという人は誰ですか？
（ぶんぶんと首を振る。飛び上がってインタビュアーの鼻にそっと触れ、次に自分の鼻に触れる）
31　苦手な相手は誰ですか？
（空の端を指す。そこには少し黒い雲が浮かんでいる）
32　尊敬する人は誰ですか？
（まっすぐに上を指差す）
33　将来の抱負は？
（素早くあたり一体の路上ゴミを拾い集めてくる）・・・・・・道路清掃のプロになるということですか？（イナバさんは目を丸くして違う、違う、というように首を振る）！ではいったい何を？（イナバさんはインタビュアーを屈ませると、その頭を二度、三度、そっと撫でてくれる）
34　今までの人生において、後悔したことは何ですか？
（短い前足をいっぱいに伸ばして大きく空中に円を描く）・・・・・数え切れないほど、ということですか。（イナバさんは頷いている）
35　今までの人生において、最も幸福だった瞬間は？
（アジサイの葉の上にカタツムリがいるのを見つけそうっとその殻をなで、インタビュアーに笑いかける）は、はあ、そういうものなんですか・・・・・
36　一つだけ願い事がかなうとしたら、何を願いますか？
（白い大きな袋の中からキラキラ光る粉のようなものを取り出して空中に放る。・・・それは少しの間だけ光るがすぐに消えてしまう）・・・・・・・・わ、私、なんだかインタビュアーとしての自信がなくなってきました・・・
37　ありあまるほどお金があります。さぁ、どうする？
（袋から空き缶を1つ取り出す）え・・・っと・・・・それは「金属」でお金ではないんですが・・・・・（イナバさんは手の中でくしゃっとそれを潰し、上に投げる。空き缶は蝶々になって飛んでいく。イナバさんは飛んでいく蝶に向かって手を振る）・・・・・・・・・・・・・・・（インタビュアーはあまりのことに声も出ない。）
38　生まれ変わったら、何になりたいですか？
（イナバさんは微笑んでいる）
39　もし自分が違う性別だったら、何をしてみたいですか？
（イナバさんは口に手をあてている。どうやらクスクス笑いをしているようだ）
40　もし明日世界が滅びるとしたら、何をしますか？
（ぶんぶんと首を横に振り、大丈夫、大丈夫、というようにインタビュアーの膝のあたりを撫でてくれる）
41　幼いころ、なりたかった職業等は？
（白い大きな袋を指す）え？？？？？袋になりたかったのですか!?（イナバさんはインタビュアーの言葉を聞いて笑い転げる）きちんといってくれないとわからないですってば！
42　今の地位・身分・職業等をやめたいと思ったことはありますか？
（ゆっくりと首を横に振る）
43　今の地位・身分・職業等をしていてよかったことは？
（インタビュアーを指し、自転車に乗っている郵便屋さんを指し、頭にタオルを巻いている建設業のおじさんを指す）・・・・・・え、ええと・・・・なんとなく・・・・わかってきたような気がします・・・
44　今の性別でよかったと思ったことは？
（くすっと笑う。ヒゲがゆったりと揺れている）
45　母親に一言。
（深々と一礼する）
46　父親に一言。
（深々と一礼する）
47　敵キャラの誰かに一言。
（白い大きな袋の口を一杯に広げ、眦を上げてキッと虚空を見つめる）
48　ファンのみなさんに一言。
（一礼してからにっこりを笑う）
49　こいつだけには、一言いっておきたいというのがあったらどうぞ。
（白い大きな袋の中に向かって、何か叫んだようだが・・・・・その叫びは私たちが耳でききとれるものではなかったのでインタビュアーにはわからなかった！）
50　自分の創造主に一言。
（インタビュアーを指し、ハイヒールの靴音高く歩いていくＯＬさんを指し、通りの向かいで威勢良く声を張り上げている魚屋さんを指し、最後にこちらにむかってしっかりと前足をあげてまっすぐな視線を向ける。それは畏怖を感じさせるような鋭い視線であるが、すぐにイナバさんは柔らかく笑うと振り返ってインタビュアーに頭を下げ、手を振ってみせる。・・・・・・そして気づくとその姿はかき消すようにいなくなっており、地面の上にこう書いてある『みんな、しあわせに』


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